合皮を本革っぽく！安見えしない選び方と見分け方のコツ

「この合皮のバッグ、デザインは気に入っているけど、もう少し本革っぽく見せたいな…」と感じたことはありませんか。実は、合皮と本革の見分け方を知ることで、合皮製品でもぐっと高く見せることが可能になります。

この記事では、本革と合皮の見分け方について、断面の違いといった基本的なフェイクレザーの見分け方から、多くの方が気になるバッグや靴、財布、そして革ジャンの見分け方まで、よくある質問に答える形で詳しく解説します。

合皮の特性を理解し、賢い選び方と少しの工夫で、お持ちのアイテムをより一層魅力的に見せる方法を学んでいきましょう。

合皮を本革っぽく！見分け方と高見えの知識

毎日のコーデに役立つ本革の見分け方

本革製品か合皮製品かを見分けることは、一見難しそうに思えるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを押さえるだけで、誰でも簡単に見分けられるようになります。最も大きな違いは、素材が動物由来か人工物かという点にあります。

まず結論から言うと、本革は「自然の風合い」があり、合皮は「均一な質感」を持つのが特徴です。なぜなら、本革は動物の皮を使用しているため、シワや毛穴、血筋の跡といった個体差が表面に現れます。これらは「ナチュラルマーク」とも呼ばれ、本物である証です。手に取るとしっとりと吸い付くような感触があり、使い込むほどに柔らかく馴染んでいく「エイジング（経年変化）」を楽しめるのも本革ならではの魅力と言えます。

一方で、合皮（フェイクレザー）は布地の上に樹脂をコーティングして作られているため、表面の模様は均一で人工的な印象を与えがちです。手触りはツルツルとしており、長く使っていても本革のような深い味わいは出てきません。この違いを理解することが、製品選びの第一歩となります。

	本革（天然皮革）	合皮（合成皮革）
メリット	・耐久性が高い ・経年変化を楽しめる ・高級感がある	・価格が安い ・水に強く手入れが楽 ・軽い
デメリット	・価格が高い ・水や湿気に弱い ・定期的な手入れが必要	・耐久性が低い（約3年で劣化） ・経年変化しない ・通気性が悪い

このように、それぞれに長所と短所が存在します。どちらが良いということではなく、用途やライフスタイルに合わせて賢く選ぶことが大切です。次の項目からは、さらに具体的な見分け方のポイントを詳しく解説していきます。

本革と合皮の見分け方は断面でわかる

製品の品質を確かめる上で、革の断面（コバ）の処理は非常に重要なチェックポイントです。実は、この断面部分を見ることで、本革と合皮をかなり高い確率で見分けることが可能になります。

本革の断面は、繊維が複雑に絡み合った層になっており、少し毛羽立っているのが特徴です。鞣し（なめし）加工された皮の繊維がそのまま見えるため、自然な風合いを感じられます。バッグの持ち手の付け根やベルトの穴など、断面が露出している部分を注意深く観察してみてください。繊維のケバ立ちが見られれば、それは本革である可能性が高いでしょう。

本革の断面の特徴

一方、合皮は布地の上に樹脂を塗布して作られているため、断面はのっぺりとしており、繊維質ではありません。多くの場合、裁断面から布地が見えたり、糸がほつれていたりします。製品によっては断面が塗料でコーティングされ、ツルっとしていることも。本革のような自然な繊維の層は見られないため、人工的に整えられた断面であれば合皮と判断できます。

コバの仕上げは職人の腕の見せ所とも言われます。丁寧に磨かれた本革のコバは美しく、製品全体の高級感を高めています。逆に、合皮でもコバ処理が雑だと安っぽく見えてしまうので、購入時のチェックポイントにすると良いですよ。

匂いも重要？本革と合皮の決定的な差

見た目や手触りと並んで、「匂い」も本革と合皮を見分けるための重要な手がかりになります。素材そのものが全く異なるため、それぞれ特有の匂いを発するのです。

本革製品は、動物の皮を鞣す（なめす）工程で使われるタンニンやオイルに由来する、独特の香りがします。これは「革の匂い」として多くの人に認識されており、心地よいと感じる方も少なくありません。この革特有の香りは、製品が本物の動物の皮から作られていることの証でもあります。

それに対して、合皮はポリ塩化ビニール（PVC）やポリウレタン（PU）といった石油由来の合成樹脂から作られています。そのため、製品からはビニールやプラスチックのような、化学的な匂いがすることが多いです。新品の合皮製品を開封した際にツンとくる刺激臭は、この樹脂や接着剤によるものと考えられます。

匂いで判断する際の注意点

匂いの感じ方には個人差があります。また、製品によっては香料で匂いをマスキングしている場合や、保管状況によって他の匂いが移っている可能性も否定できません。そのため、匂いだけで100%判断するのではなく、手触りや断面など、他の要素と合わせて総合的に判断することが重要です。

このように、素材本来の匂いを意識することで、見分けの精度をさらに高めることが可能です。お店で製品を手に取る機会があれば、少しだけ匂いも確認してみると新たな発見があるかもしれません。

フェイクレザーの見分け方と質感の違い

「フェイクレザー」とは、その名の通り本革に似せて作られた人工素材の総称で、一般的には合皮（合成皮革）を指します。このフェイクレザーには、主に「PUレザー」と「PVCレザー」の2種類があり、それぞれに質感や特性が大きく異なります。

PUレザー（ポリウレタン樹脂）は、質感が非常に本革に近く、柔らかくしなやかなのが特徴です。弾力性にも優れており、もちっとした手触りは本革と見間違えるほど。近年、技術の向上により、高級ブランドの製品にも採用されるケースが増えています。

一方、PVCレザー（ポリ塩化ビニール樹脂）は、PUレザーに比べて表面が硬く、ツルツルとした質感が特徴と言えます。耐久性や耐水性が高く、汚れにも強いため、ソファや車のシートなど、幅広い用途で使われています。ただ、通気性や弾力性はPUレザーに劣るため、衣料品などにはあまり向きません。

PUレザーとPVCレザーの比較

項目	PUレザー（ポリウレタン）	PVCレザー（ポリ塩化ビニール）
質感	柔らかく、しなやか	硬めで、ツルツルしている
通気性	比較的良い	悪い
耐久性	経年劣化（加水分解）しやすい	比較的高い
価格	PVCより高価な傾向	安価な傾向

もし、合皮製品を選ぶ際に「より本革に近い質感」を求めるのであれば、PUレザーを選ぶのがおすすめです。製品のタグや素材表記を確認し、どちらの種類が使われているかをチェックする習慣をつけると、より満足度の高いお買い物ができるでしょう。

色と質感で合皮を高く見せるテクニック

合皮製品をより本革っぽく、そして高級感があるように見せるためには、「色」と「質感」の選び方が非常に重要になります。同じデザインの製品でも、この2つの要素で印象は大きく変わります。

まず「色」についてですが、一般的にブラック、ダークブラウン、ネイビーといった暗めのベーシックカラーは、素材の安っぽさが目立ちにくく、コーディネート全体を引き締めてくれる効果があります。逆に、明るい色やパステルカラーの合皮は、人工的な光沢が目立ちやすく、チープな印象を与えてしまうことがあるので注意が必要です。

次に「質感」です。合皮特有のテカテカとした不自然な光沢は、安っぽく見える最大の原因と言っても過言ではありません。そこで、光沢が抑えられたマットな質感や、シボ（表面の凹凸）加工が施されたものを選ぶのがおすすめです。シボ加工は本革の風合いを模したもので、表面に立体感が生まれるため、のっぺりとした印象を回避できます。

合皮を高く見せる選び方のコツ

さらに、バッグや財布であれば、ファスナーや留め具といった「金具」の質もチェックしましょう。安っぽいプラスチック製の金具ではなく、重厚感のある金属製のパーツが使われているものを選ぶだけで、製品全体のクラス感が格段にアップします。これらのポイントを意識して製品を選ぶことで、合皮でも十分に高級感を演出することが可能です。

手入れで変わる！合皮のツヤを調整する方法

購入した合皮製品のテカテカした光沢が気になる場合、適切なお手入れによって質感を調整し、より本革に近い落ち着いた風合いに近づけることができます。ここでは、自宅で簡単にできるツヤの調整方法をいくつか紹介します。

つや消しスプレーの活用

最も手軽で効果的なのが、市販の「つや消しスプレー」を使用する方法です。プラモデル用などでも代用できる場合がありますが、素材を傷めないよう、できれば革製品に使えるタイプを選びましょう。スプレーする際は、必ず屋外の換気の良い場所で行い、製品から20〜30cmほど離して薄く均一に吹きかけるのがコツです。一度に厚く塗るのではなく、数回に分けて重ね塗りすると、ムラなく自然なマットな仕上がりになります。

スプレーを使用する前には、必ずバッグの底など目立たない部分で試してから全体に使用してください。素材との相性によっては変色やシミの原因になる可能性があります。

クリームやオイルでの調整

本革用のミンクオイルなども合皮のツヤ調整に使えますが、注意が必要です。合皮は油分を吸収しないため、厚く塗りすぎるとベタつきの原因になります。ごく少量を乾いた布に取り、円を描くように薄く均一に塗り広げてください。これにより、しっとりとした落ち着いたツヤを出すことができます。また、100円ショップなどで手に入る靴用のつや消しクリームなども、コストを抑えたい場合に有効です。

個人的には、エタノール（消毒用アルコール）を布に含ませて軽く拭く方法もおすすめです。表面のコーティングが少し落ち着き、マットな質感になります。ただ、これもやりすぎると色落ちや劣化の原因になるので、本当に軽く、そして必ず目立たない場所で試してからにしてくださいね。

これらの方法を試すことで、合皮特有の人工的な光沢を抑え、より深みのある本革らしい表情を演出することが可能になります。

合皮を本革っぽく！アイテム別の選び方と工夫

本革と合皮の見分け方【バッグ編】

バッグは日常的に使うアイテムだからこそ、素材の違いが顕著に表れます。本革製と合皮製のバッグを見分けるには、いくつかの特有のポイントに注目すると良いでしょう。

まず確認したいのが、持ち手（ハンドル）やショルダーストラップの付け根です。これらの部分は最も負荷がかかるため、作りがしっかりしているかが重要になります。本革バッグは、耐久性を高めるために革を重ねて厚みを持たせたり、ステッチを二重にしたりと、頑丈な作りになっていることが多いです。一方、合皮バッグは、この部分の作りが簡素な場合があります。

次に、バッグの角や底の部分を見てみましょう。本革はしなやかなため、角の部分も自然な丸みを帯びていますが、合皮は素材が硬めなため、角がやや不自然に尖って見えることがあります。また、長く使われた本革バッグは、角が擦れて色が変化し、独特の味わいが出てきます。合皮の場合は、表面の樹脂が剥がれて下地の布が見えてしまうことが多いです。

バッグの見分け方チェックリスト

バッグの内側の処理も重要なポイントです。本革バッグの中には、あえて裏地を付けずに革の裏面（床面・とこめん）の毛羽立った質感を見せているものもあります。これは素材に自信があるからこそできるデザインです。合皮の場合は、ほとんどの製品で布製の裏地が付けられています。これらの点を総合的にチェックすることで、より正確に素材を見極めることができます。

合皮と本革の見分け方【靴編】

毎日体重を支え、地面と接する靴は、素材の特性が履き心地や見た目に直結するアイテムです。本革の靴と合皮の靴を見分けるには、特に「シワ」と「通気性」に注目することが有効です。

歩くたびに曲がる甲の部分のシワの入り方は、最も分かりやすい違いの一つです。本革の靴は、履く人の足の形や歩き方の癖に合わせて、細かく不規則で自然なシワが入ります。このシワが、革が足に馴染んでいる証拠であり、靴に立体感と風格を与えます。一方、合皮の靴は、素材が伸びるだけなのでシワが入りにくく、もし入ったとしても大味で不自然なシワになる傾向があります。

靴の「シワ」に注目！

試し履きができるなら、少し屈伸運動をしてみてください。本革なら足の動きに沿って柔らかく曲がりますが、合皮はやや硬さを感じ、反発するような感覚があるかもしれません。この履き馴染みの良さが、本革靴の最大のメリットです。

また、通気性も大きな違いです。本革は天然素材であるため、目には見えない無数の毛穴があり、空気を通す性質があります。そのため、長時間履いても足が蒸れにくいのが特徴です。これに対し、合皮は樹脂でコーティングされているため通気性が悪く、特に夏場は蒸れやすく不快に感じることがあります。

靴底（ソール）の素材もチェックポイントです。高級な革靴はソールまで本革で作られた「レザーソール」が採用されていることがあります。合皮の靴は、ほとんどがゴム製のソールですね。靴を裏返してみるのも一つの方法です。

これらの点を踏まえて靴を観察すると、履き心地だけでなく、見た目の高級感にも繋がる素材選びができるようになるはずです。

本革と合皮の見分け方【財布編】

財布は毎日手に触れる小さなアイテムですが、それゆえに素材の質感が分かりやすい製品でもあります。本革と合皮の財布を見分ける際は、細かい部分の作りに注目してみましょう。

まず、最も違いが表れやすいのがコバ（革の裁断面）の処理です。前述の通り、本革は断面が繊維質ですが、財布のような小物では、このコバを丁寧に磨き上げ、塗料を何度も塗り重ねて仕上げられています。この滑らかで美しいコバの仕上げは、高級な本革財布の証とも言えます。合皮の財布では、コバの処理が簡素であったり、単に折り返して縫われている（ヘリ返し）だけのことが多いです。

次に、カード入れや小銭入れの縁の部分を確認してください。本革は耐久性があるため、縁の部分を薄く漉いて（すいて）から縫製することができます。これにより、シャープで洗練された印象になります。合皮の場合は、生地の端がほつれないように厚めに処理されていることが多く、やや野暮ったい印象に見えるかもしれません。

財布の見分け方チェックリスト

また、財布の内側も重要なチェックポイントです。高級な財布は、外側だけでなく内側にも本革（もしくは品質の良い別の革）を使用している「無双仕立て」など、贅沢な作りになっています。一方、合皮や比較的安価な本革の財布では、内側にナイロンなどの布地が使われていることが一般的です。細部までこだわりを感じられるかどうかが、本革と合皮、そして製品そのものの価値を見極める鍵となります。

革ジャンの本革と合皮の見分け方

ファッションアイテムの中でも特に存在感のある革ジャン（レザージャケット）は、本革か合皮かで見た目の迫力や着心地が大きく異なります。見分けるためのポイントは、ずばり「重さ」「柔らかさ」、そして「エイジング」です。

まず、手に持った時の重さを比べてみてください。本革、特に牛革（カウハイド）や馬革（ホースハイド）を使用した本格的なライダースジャケットは、ずっしりとした重みがあります。この重みが、革が持つ耐久性と防風性の証です。一方で、合皮のジャケットは明らかに軽く、手軽に羽織れるのが特徴と言えます。

次に、革の柔らかさと身体へのフィット感です。本革は、着れば着るほど体温や動きによって柔らかくなり、持ち主の身体の形に完璧にフィットしていきます。特に腕の関節部分などに入るシワは、その人の歴史を刻んだ勲章のようになり、唯一無二の表情を生み出します。合皮は、初めからある程度柔らかいものもありますが、本革のように身体に合わせて劇的に変化することはありません。

革ジャンのエイジングを楽しむ

本革の革ジャンは、まさに「育てる」アイテムです。最初は硬くて着にくいかもしれませんが、時間をかけて付き合っていくことで、最高の相棒になります。擦れて色が変わったり、自然なツヤが出たりする経年変化（エイジング）こそ、本革の最大の魅力です。

もちろん、合皮には「雨に強く手入れが楽」「価格が手頃でトレンドを取り入れやすい」といった大きなメリットがあります。どちらの素材を選ぶかは、ファッションに対する考え方やライフスタイル次第です。それぞれの特性を理解した上で、自分に合った一着を選んでみてください。

総括：工夫次第で合皮を本革っぽく見せよう

• 本革は自然なシワや毛穴、動物由来の匂いが特徴
• 合皮は質感が均一で化学的な匂いがするのが一般的
• 革の断面（コバ）が繊維質なら本革、均一なら合皮
• PUレザーは本革に近く、PVCレザーは耐久性が高い
• 合皮を高く見せるには暗い色とマットな質感がおすすめ
• 金具の質が高い製品を選ぶと高級感がアップする
• 合皮の不自然なツヤはつや消しスプレーで調整可能
• ミンクオイルを薄く塗るとしっとりした質感になる
• バッグは持ち手の付け根や角の処理に違いが出る
• 靴は甲部分のシワの入り方で素材を見分けられる
• 財布はコバの処理や内側の作りに注目する
• 革ジャンはずっしりとした重みと経年変化が本革の証
• 合皮は軽くて手入れが楽という大きなメリットがある
• 素材の特性を理解し用途に合わせて選ぶことが重要
• 少しの工夫と手入れで合皮もおしゃれに活用できる

この記事は、一般社団法人 日本皮革産業連合会、日本合成皮革工業会、地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センターの発信情報を参考にし、当サイトのコンテンツ制作ポリシーに則り作成しています。